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奈良地方裁判所 昭和25年(ワ)1号 判決

原告 中島伊一郎

被告 中津三男

一、主  文

被告は原告に対し別紙目録<省略>記載の家屋一部を明渡さねばならない。

被告は原告に対し金四千五百円及びこれに対する昭和二十五年一月三十日から支拂済に至るまで年五分の割合に依る金員を支拂わねばならない。

原告の其の余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告の負担とする。

本判決は原告に於て金一万円の担保を供するときは勝訴の部分に限り仮りに執行することが出來る。

二、事  実

原告訴訟代理人は、主文第一、四項と同旨及び被告は原告に対し金四千五百円及びこれに対する昭和二十四年十月一日から支拂済に至るまで年五分の割合に依る金員を支拂わなければならない旨の判決並びに担保を條件とする仮執行の宣言を求め、その請求の原因として、原告は先代七五郎の代から餅、饅頭の製造販賣業を営み戰時中休業していたところ、昭和二十二年一月二十七日被告との間に別紙目録記載の店舗で、氷菓子の製造販賣の共同事業を営むことを目的とする組合契約を締結し、出資総額を金七万円と見積りその三分の一を原告に於て出資し、残余の三分の二を被告に於て出資し且つ双方共に労務を出資する。利益配当は出資の割合に依ることを約定したが、原告の右出資に先きだち氷菓子製造機械が到達し、被告において其の代金六千五百円を支拂つたので改めて被告との協議の結果原告は金銭出資に代えて店舗一部の使用権並びに労務を出資すること、被告は機械設備並びにその事業に対する労務を出資することとし、同年四月十八日より原告の別紙目録記載の店舗一部において被告が仕入並びに会計事務担当者として右共同事業を始めた。原告の再三の被告に対する建物使用権評價の請求にも應ぜず被告は一方的に同年四月には利益分配を六百円、五月より七月までは毎月金千五百円宛の利益分配をしたのみで、氷菓子の最盛期である八月九月には全然利益分配をしなかつた。其の後同年十月には既に氷菓子製造販賣の時期が過ぎたので組合事業として生饂飩の委託加工業を行うこととし、原告が労務出資を提供し、被告より同十月及び十一月は各金二千円翌年二月金千五百円の利益分配を受けたのであるが、昭和二十三年三月二十八日被告は何等の理由がないのに原告に代つて仕事に從事する原告の長女利幸(当十八年)を毆打し全治一週間を要する傷害を加えた。原告は組合事業開始以來再三被告に対し原告の出資價額を決定し且つ毎月の收支計算を明確にすべきことを要求するも、被告は言を左右に託して應じないで契約に背いて右組合事業の利益を独占し、原告に対しては一方的に事業成績が良好であるのに利益の僅少を分配するばかりでなく原告等家族を悔視するので、原告は到底組合事業の継続に堪えられなくなり、被告に対し組合の解散を請求したところ、同町内居住の訴外藤森泰造、同海知由晴が仲裁斡旋するところがあつて同年四月三日原告被告間に先きの右組合契約を更新して氷菓子の製造販賣並びに生饂頓の委託加工の共同事業を継続すること、被告は原告が組合に前記店舗一部の使用権を出資することに対する利益分配として、毎年五月より九月までは一ケ月金千八百円、爾余の毎月は一ケ月金九百円を損益如何にかゝわらず提供することを約定した。しかるに被告は昭和二十四年五月右約定の利益分配金の半額金九百円同年八月九月の二ケ月同利益分配金計三千六百円を支拂わない。被告は依然として原告等家族に対し粗暴な態度を改めず且つ不良の徒を出入させ町内の円満融和を紊すに至り、同町内居住者が挙つて一日も早く被告を原告方より立退かせて呉れとの決議さえなされた。しかして一般経済事情が原被告の右組合契約当初より激変し、自由経済に近い状態に復元され原告の家業である名物源九郎稻荷餅の製造販賣も可能となつた。しかるに店舗の一部を共同事業に使用されるときは原告が永年老舗を有する右営業の再開が不能であり、原告の現に営む菓子製造販賣並びに喫茶店営業は店舗狹隘なため多大の支障を來たし採算が採れない。かくて原告は昭和二十三年度昭和二十四年度の公租公課金計一万七千八百二十四円の滞納を余儀なくされ、原告夫婦と子供三人の生計を維持することすら至難な事情に在る。この急迫した困窮を打開し家庭の平穏を取戻すためには、被告との組合事業を終了させて店舗を拡張し、旧來の源九郎稻荷餅を販賣するより外に方法がない。一方被告は自宅において田地一町余を耕作する豪農であり、傍ら自宅において製粉精米業を営む外近畿日本鉄道郡山駅前で映画館を経営し、最近は新聞事業を計画する等の有力者であつて、原告との前記組合事業を廃するも何等経済的打撃を被らないし又被告の財力を以てすれば氷菓子製造販賣、生饂頓委託加工業を維持経営するのに原告店舗の使用を固執する必要も存しないのである。右事情は眞に原告が被告との右組合の解散を請求し得る已むを得ない事由ある場合に該当するから、原告は昭和二十四年十月十日附内容証明郵便を以て被告に対し同月二十日限り前記組合を解散して本件店舗一部の明渡を求める旨の意思表示をし、該書面は即日被告に到達した。從つて原被告間の右組合契約は同日限り適法に終了する以上右組合契約の趣旨よりして清算事務の終了を待たないで被告は現に占有する別紙記載の店舗一部を原告に返還すべき義務を負うこと明かである。よつて原告は茲に被告に対し右店舗一部の明渡並びに前記約定利益分配金合計金四千五百円及びこれに対する弁済期以後である昭和二十四年十月一日から支拂済に至るまで年五分の法定利率に依る遅延損害金の支拂を求めるため本訴に及ぶと陳述し、被告の答弁に対し本件家屋が訴外浅野光司の所有であり、原告が同訴外人より一ケ月金三十二円の家賃で賃借したことは爭わないけれども、其の余の被告主張事実を否認すると述べた。<立証省略>

被告訴訟代理人は、原告の請求を棄却する旨の判決を求め、答弁として、当初原告の主張の各日時、原告主張の約定にて原告との間に組合契約を締結した事実並びに原告主張の組合契約解散請求の意思表示を受けた事実は爭わないけれども、其の余の原告主張事実は総て否認する。即ち昭和二十一年十一月被告が戰地より復員して間もない頃日稼人として被告方農業を手傳つていた原告が物置に使用している本件家屋の一部を適当な営業に利用することを提唱したので、被告は氷菓子製造販賣の共同経営を思い立ち原告と協議の結果原告主張のような機械購入資金を共同出資する組合契約を締結したところ、原告が約定の金銭出資ができないため原告の申出により事業開始前昭和二十二年三月頃右組合契約を原告被告合意の上解除し、改めて被告は原告より別紙目録記載の家屋一部を賃料一ケ月金六百円で賃借することを約し、被告が購入した氷菓子製造機械を据付け被告單独で氷菓子製造販賣業を開始し、他に職業を有しない原告を被告の店員として雇傭した。しかるに被告の営業が意外に繁昌するのを見て原告が賃料の値上を要求し被告が之れに應じないならば氷菓子製造に使用する用水堰止め営業妨害をしようとするので、被告はやむなく賃料を一ケ月金千円に値上することを承諾し、同年五月より九月まで五ケ月間に賃料合計五千円を原告に支拂つたところ、本件家屋が原告の所有でないことを聞知しその眞相を家主訴外浅野光司に確めたところ同訴外人が其の所有の本件家屋を賃料一ケ月金三十二円で原告に賃貸していることが判明し、同訴外人が原告が無断で右家屋の一部を賃料一ケ月金千円の高額で被告に轉貸する不法を責め、原告に対し賃貸家屋全部の明渡を要求するに至つたので、種々折衝の末昭和二十二年九月原被告及訴外浅野光司との三者間に原告が被告より先きに受取つた家賃金五千円を訴外浅野に返還して本件店舗の一部を返還し被告が改めて同年五月以降同訴外人より直接右店舗の一部を賃借する旨の契約成立した。かくして被告は同年十月以降昭和二十三年三月まで直接家主訴外浅野に対し一ケ月金五百円の賃料を支拂い氷菓子の季節外は生饂頓委託加工業を経営して來た。被告は原告に対し給付として昭和二十四年四月金六百円同年五、六、七月金千五百円宛同年十月十一月金二千円宛翌二十三年二月金千五百円を拂つたが、原告はこれに慊らず更に本件店舗一部の賃料を自己に取得しようと企て被告の営業用水を堰止め便所の使用を妨げ営業の妨害をし、世間に不実の事実を吹聽して被告の名譽信用を毀損する所爲を繰返えし、顔役的人物を誘い昭和二十三年四月三日地代家賃統制令違反と無断轉貸の非を糊塗するため表面原被告双方の共同事業であることを装う契約書(乙第二号証)を作成し、被告に調印を要求したのでこれに調印し改めて被告が原告より本件店舗の一部を賃料毎年五月より九月までの間一ケ月金千八百円其の他の月一ケ月金九百円の約定で賃借する旨の賃貸借契約を締結し、以來被告は原告に対し本件店舗を使用する対價である右約定家賃金を支拂つて來たのである。尤も昭和二十四年五月に半額金九百円同年八月及び九月の全額千八百円宛を被告が原告に対し現実に弁済提供したところ原告が理由なく其の受領を拒んだのである。從つて被告は本件家屋の一部につき適法な賃借権を有するものであるから、右家屋の一部が原被告双方の組合事業に現物出資せられたものであることを前提とする原告の本訴請求は到底失当たるを免れないと陳述した。<立証省略>

三、理  由

別紙目録記載の店舗兼住宅一棟が訴外浅野光司の所有であること並びに昭和二十二年一月二十七日原告被告間に原告の訴外浅野より賃借する右店舗において氷菓子製造販賣の共同事業を営むことを目的として、原告主張のような組合契約を締結したことはいずれも当事者間に爭がない。右事実と成立に爭がない甲第一号証同第二十号証証人浅野光司の証言に依りいづれも成立を認めることができる同第二十二号証の一乃至四同第二十三号証乙第一号証いづれも村長作成部分の成立に爭がないから全部眞正に成立したものと推定される。甲第十七第十八号証並びに証人藤森泰造同海知由晴同中島房子の各証言証人清水春子の証言の一部原告本人の供述及檢証の結果を合せ考えると、原告は昭和十一年三月訴外浅野カスヱ(光司の実母)より本件家屋を賃料一ケ月金三十二円で賃借し名物源九郎稻荷餅、菓子製造販賣を営んでいたのを戰時戰後に亘り休業していたところ、戰地より復員し奈良縣生駒郡片桐村大字豊浦の自宅で農業に從事していた被告との間に同郡郡山町の繁華商店街に所在する本件店舗において氷菓子製造販賣業を共同経営することを目的として前記組合契約を締結し、製造機械設備購入代金七万円を双方の出資額に見積りその三分の一を原告において出資することを約したのに原告が金策できなかつたので、被告の承諾を得て右現金出資に代え店舗の使用権を右共同事業に出資し、且つ双方労務を提供出資することにし、被告を業務担当者として仕入並びに会計事務を担当させることに定めて昭和二十二年四月中頃より被告が購入出資した機械設備で組合事業を始めたところ、当初の契約において出資額を当面現金支出を要する機械設備の購入代金額により決定し、同様事業資本である店舗の出資評價を閑却したところから、被告は現金出資を重視し原告の現物出資を軽視して、原告より度々原告の出資價額を算定し双方の出資の割合を決定することを求め、且つ事業の收支計算並びに收益を明かにすべきことを要求するにもかゝわらず、被告はこれに應じないで予期以上の收益を挙げながら原告の労務出資を標準に同年四月金六百円同年五月六月七月毎月金千五百円の利益分配を一方的に決めて原告に交付したこと、同年八月被告が前記自宅より右営業店舗に日々就業する関係から被告の組合事務を補助させるため、同年八月通勤女事務員一人を雇入れ会計事務に当らせたこと、其の頃被告が本件店舗を原告が訴外浅野光司より賃借することを知つて原告不知の間に家主浅野との間に殊更に賃貸借の日を昭和二十二年五月に遡らせて右店舗の一部を賃料毎年五月より九月まで金千円其の他の月は金五百円で直接浅野より賃借する旨の賃貸借契約を締結して、組合契約に背いて自己單独経営に移そうとしたが原告の反対に遭つて訴外浅野は從前の原告の賃借権を尊重し、且つ店舗の一部を被告との共同事業に使用すること承諾すると共に被告との間に訴外浅野所有の土藏軒下(本件店舗の裏側)を賃料は被告が本件店舗一部を使用する対價をも含める趣旨の下に毎月金五百円で賃貸する旨を約したこと、昭和二十二年十月より原被告双方が氷菓子の季節外は生饂頓委託加工の共同事業を営むことゝしたが、被告が原告に祕して訴外浅野に対し本件店舗一部の使用料を支拂つているところから、原告に対し前記組合契約の趣旨に背いて原告の提供した労務の出資に対してのみ利益分配として同年十月十一月金二千円宛昭和二十三年二月金千五百円を交付し、正当な利益配当をすることを肯じないので原被告間の感情疎隔した折柄同年三月末頃被告が原告の長女利幸を毆打し傷害を與えたので、原告はこれを機会に被告との組合契約を終了させ、本件店舗を全部使用して菓子製造販賣営業をしようとして組合の解散を被告に申入れたところ、訴外海知由晴が被告のために仲裁斡旋した結果、昭和二十三年四月三日原告と被告との間に原告は前記共同事業を被告の計算による單独営業に移讓し、從前通り店舗一部(西側半分)の使用権を被告の営業に出資すること、被告は損益にかゝわらず毎年五月より九月まで一ケ月金千八百円他の月は一ケ月金九百円の利益分配をすること、被告は原告の店舗老舗を利用し、且つ原告の賃借権を考慮して対外的には原被告の共同事業たる責任を原告が負担すること、原告は店舗の警備は勿論必要の都度営業事務を補助することを契約し、以來被告は原告に対し右約定の利益分配をし、訴外浅野に対し土藏軒下のみの賃料を支拂い來り、原告は本件店舗の東側において菓子販賣並びに喫茶店営業を営み來つたこと認定するに十分である。被告は最初の組合契約は共同事業開始前原告の金銭出資が不能のため合意解除し、改めて本件店舗の一部を原告より賃借し昭和二十二年五月より毎月金千円の賃料を原告に支拂つたが同年九月原被告及び訴外浅野との三者間合意の上原告が被告より受領した賃料金五千円を返還し本件店舗を明渡し、被告が同年五月より訴外浅野から直接賃借する旨契約し、昭和二十三年四月より再び被告が原告より毎年五月より九月まで一ケ月金千八百円其の他の月は一ケ月金九百円の賃料で賃借し、右店舗一部を使用して被告單独の営業を営むもので、右賃料以外の被告に対する拂金は雇傭契約による報酬に過ぎないと抗爭するけれども、これに吻合する証人清水春子及被告本人の各供述は信用し難く、乙第一、二号証及び被告提出援用の他の立証に依るも被告の右主張事実を認めて前示認定を左右するに足りない。前示認定事実に從えば昭和二十三年四月三日原被告間に締結した契約は民法上の組合契約と商法上の匿名組合契約との双方の性質を兼有する混合契約であり、組合員原告が右組合関係より離脱し出資の返還を求めるにおいては、被告の営業の継続と出資の目的たる店舗一部の使用とが不可分的に結合すると共に店舗の使用権を営業者である被告が任意処分換價し得ないことは前示契約における当事者双方の意思解釈上明かであるから、右契約関係終了の原因として商法第五百三十九條第二項若くは民法第六百七十八條は其の適用の余地なく、唯だ已むを得ない事由ある場合に限り民法第六百八十三條に準拠し原告は被告に対し右組合契約の解散を請求し得べく、此の場合出資の目的たる店舗の使用権につき出資價額を予め定められていると否とにかゝわらず、清算を俟たないで営業者たる被告は店舗一部の占有権を組合員原告に返還すべき義務を負担するものと解するのが相当である。原告が昭和二十四年十月十日被告に到達した書面を以て同月二十日の予告期間を定めて被告に対し前記組合契約解散の請求をしたことは当事者間に爭がない。よつて原告の右解散の請求が已むを得ない事由に基くものであるか否かを考察する。成立に爭がない甲第四号乃至第十三号証同第二十五号証、前示同第十七、第十八号証、第三者の作成に係るから当裁判所眞正に成立したものと認める同第十九号証並びに証人海知由晴同中島房子の各証言、原告本人の供述及び檢証の結果と弁論の全趣旨とを合せ考えると、原告が昭和二十三年四月頃より本件店舗の東側で菓子製造販賣商を同年八月頃より卓子三脚を設け喫茶店を開業したが、資金の不足と店舗が僅か二坪余の狹隘であるために営業不振で、長女利幸の稼ぎと被告より受ける利益配当等により糊口を凌いでいたが、税金の滞納を余儀なくされ物價高のため漸次窮迫したので、昭和二十四年七月被告が同年五月分の約定利益金千八百円の内金九百円を支拂わないのでその支拂を請求すると共に利益配当の額を請求したところ、被告は氷菓子販賣の盛期にあるにかゝわらず原告の出資を無視して店舗の賃貸借であると主張し、且つ地代家賃統制令違反を理由として同年八月分の約定利益配当金に代え減額賃料名義に金百円を提供し、同年八月も同様金百円を提供し、約定の利益配当を拒否したので、双方の感情再び疎隔し到底融和の見込ないまでに紛糾を重ねたゝめ、原告は被告より本件店舗の一部の明渡を受けて営業を拡張して旧営業に復元し窮境を打開しようと計るに至つたこと、一方において被告は前示自宅において奈良縣に勤務する実兄市太郎と共に田地一町余歩を耕作する傍ら製粉精米業を営み、且つ昭和二十五年二月頃より近畿日本鉄道郡山駅前で映画館を株式会社組織の下に主宰経営し、前示原告との契約の趣旨に背いて其の本店事務所を本件店舗に定めていること、從つて被告の資力を以てしては本件店舗に代わる営業所を他に求めるに困難でなく、たとい右営業を廃するも被告の生活にさして苦痛打撃を與えるものでないことが認定できる。これに抵触する被告本人の供述は信用し難く、他に右認定を動かすに足りる証拠がない。右認定の各事情と冐頭認定の経緯とを綜合するときは組合員原告が出資の目的である本件店舗一部の返還を受けることができないことにより受ける財産上の損害犠牲は営業者たる被告が営業の基礎たる店舗を失うことにより被るであらう苦痛損失と比較して遙かに著大であると共に被告が住宅の一部を出資する原告組合員の利益を常に考慮し、互に融和協調してのみ営業の永続を期し得られる契約関係であるのに、営業者である被告側に責むべき義務違背、背信行爲に原因して右信頼関係が破壞され到底融和を望み難きまでに不和となれることが認められるから、斯様な場合原告が被告に対し右組合関係を解散させる形成権を取得するにつき眞に已むを得ない事由を有するものと解するのが相当である。從つて右請求権に基いてした原告の前示組合解散の請求は有効であり、予告期限の昭和二十四年十月二十日限り原被告間の組合関係終了し清算を俟たないで被告は出資の目的たる本件店舗一部の占有を原告に移轉すべき義務あること前示説示するところにより自から明瞭である。從つて原告の被告に対し被告の占有する本件店舗一部の明渡を求める本訴請求は正当というべきである。次に被告が原告に対し前示組合契約により支拂うべき昭和二十四年五月分の利益配当金の半額金九百円同年八月及び九月の約定配当金三千六百円計金四千五百円を支拂わないことは、前段認定事実に依り認められ前示甲第一号証に依れば利益配当金が月決めに定額を定めていることが明かであるが、その弁済期が毎月末日であることはこれを認むべき証拠がなく、利益配当金の性質上当該期間経過後は期限の定なき債務として原告は何時にても被告に対し履行を請求し得るものというべきである。よつて被告は原告に対し右約定配当金四千五百円及びこれに対する本件訴状送達の翌日であること記録上明白である昭和二十五年一月三十日より支拂済に至るまで年五分の法定利率による遅延損害金を支拂うべき義務あるから、原告の本訴金員請求は右限定において認容し、これを超える部分を失当として棄却すべきものとし、訴訟費用の負担については民事訴訟法第八十九條、仮執行の宣言については同法第百九十六條第一項を夫々適用して主文の通り判決する。

(裁判官 南新一)

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